2005年03月01日

時速300キロメートルの孤独


幼い日々 沿線は
鮮やかな四季の彩りと
優しげな光と風に包まれ
まるで 映画の一場面のように
列車はガタゴトと 走り去って行った
時代は変わり 今は無表情な電車が
急ぎ足で 高架線を行き交うばかり
心に焼きついた あの頃の追憶と
出逢えるのは もう 旅の途中だけ……

inaka119_2.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 01:42| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

鉄路旅愁


願わくば レールが尽きるまで旅していたい
そんな気持ちのまま ずっと揺られてきたのに
人を寄せつけない山並みや
果てしない海原を見ていると
何故(なぜ)だかほんの一瞬 淋しさが心を襲う
(――いっそ次の駅で 引き返そうか)
されど まだ見ぬ車窓への想いは断ちがたく
あてどない旅路(たび)は 続いてゆく
空には ぽっかり はぐれ雲……


sunset2.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 01:38| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

旅路の幻影


長い 静けさの中で
その駅は 眠っていた
ここから 沢山の人が旅立ち
降り立ったのは いつの事だろう

やがて 時は移ろい 音さえも無く
今は風が 草を揺らすだけの
ホームに佇み ただ独り
賑わいし かの日を偲ぶ

(人知れず錆びついた レールの先には
どこまでも続く 遥かな夢が
広がっていたはずなのに……)

夢破れ 見捨てられた
旅路の果てに 大いなる幻影が甦る
わたしの心の中で 永遠に――

haisen04-40per.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 01:36| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夏の小駅にて


潮風の吹く 夏の日
青い空の下 白い小さな駅に
短い気動車が着き 降りる人も
乗る人も いない午後

人影のない 広い構内を
歩いているのは 私だけ
誰もいない 駅務室では
時がひっそり 夢路を刻んでいる

改札を抜けて 乾いたホームに立つ
レールは陽炎の中へと 消えていた
まるで 遠い追憶のように……

ちぎれた片道切符が 風に舞う
私はひとり 待合室で列車を待つ
遅れても構わない 旅を続けながら

inaka12.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 01:32| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

霧のメモワール


淡く青く 暮れなずみし
たそがれの 北の港町
河口から立ち上る 霧が
眠りのように 街を包み込む

私は 独り
永遠に 列車の来ない
レールを辿り 過去への旅路に
心の中で 旅立つ

聞こえてくるのは どこかで
微かに鳴る 汽笛と
人恋しげな 鴎たちの声だけ

家路を急ぐ 母娘が
線路伝いに とぼとぼ歩いてゆく
この風景も やがては淡い追憶(メモワール)……


bird01-2.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 01:30| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Cafe Tram


海の見える 風のテラスで
グラスに浮かぶ 透きとおった氷が
初夏の まばゆい光の中で
軽やかに ゆれている

小さな電停の 傍らに建つ
このカフェに 私はいて
ぼんやり あなたと
過ごした日々を ひとり想う

あの路面電車の ステップから
ふたたび降り立つ 見なれたシューズと
影ぼうしを 夢見つづけながら――

ソーダ水のような あの頃の
想い出の終点に たどり着けず
今もひとり たゆたう私……


05-h2.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 01:27| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

雨の夕べに


小さな部屋の 片隅で
ひっそり 手帖に向かいながら
震えるような 孤独を抱えて
まだ見ぬ旅へ 想いを募らせる

目の前に 記された
無数の時間と 空間の羅列
それらを一つ一つ ひも解いてゆくと
いつしか夢は 果てしなく広がる

降りしきる 雨を越えて
微かに 聞こえてくるのは
行き交う夜汽車の 静かな調べ……

(あした 希望への切符を 買いに行こう)
新たなる想い出に あこがれ
大いなる旅路に ときめく夕べ――

bottompoints1.jpg (Photo: Y. Kambe)
posted by Yasuhiko Kambe at 01:24| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月28日

餘部悲歌


忍ぶが如き山陰路
凩(こがらし)吹きつけし
漆黒の車窓より
闇夜の海を眺むれば
浮かび連なる漁火の
また哀れなるかな
餘部の高き橋ゆく音も
我が胸に淋しからずや
かの日の想い出は遠く
忘れ得ぬ面影を独り
夜空に探しつつ
寄るべなき旅を
追憶の彼方へと進まん
打ちひしがれし魂の
はかなき夢の如く
悲しき定めの如く
帰りたきは
何処(いずこ)なりやと


moon-c.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 22:31| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ゆうづる橋


あの日と同じように 霧に包まれ
私は独り この橋を渡る
港から吹く風が 行き交う人を
急がせる 君の街にいて

あれから幾つ 星を数えただろう
橋の上に広がる きらめきは
あの日と 何も変わらず
想い出だけが いたずらに通りすぎ

南へ向かう 夜汽車が
遠く 鉄橋を駆け抜けてゆく
淡い追憶まで 連れ去るように

もう 君は変わってしまったのだろうか
もう 私は変わってしまったのだろうか
まだ昨日のような気がする あの日の別れから

16.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 22:29| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

至福の旅路


ひっそり 霧に煙るホームで
人知れず咲いた 青い花
その傍らを 赤い機関車の牽く
貨物列車が 西へと駆けてゆく

私は 急ぎもせず
ぼんやりと 車窓を眺めながら
ひたすら 時をむさぼる
至福の旅を 続けて……

この霧の向こうへと続く 鉄路を
ゆっくりと 確かめるように
一駅一駅 辿ってゆく

――乳白色の車窓に 小さな河口が広がる
その瞬間(とき) 鳥は羽ばたいて
列車と私を 空から見送っていた

de-ji001-400.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 22:26| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

沈黙の夜を超えて


みちのくの 春風の中
大勢で見送ったアイドリング音も
今はもう聞こえない

峠の 秋空の下
先刻(さっき)まで木霊(こだま)していたモーター音も
深い眠りに就いたばかりだ

もうすぐ 静かな夜が明ける
そしたら君は 新しいダイヤを引いて
出発すればいい――


night-train.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 22:21| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

旧客の面影


旧客のぬくもりは 母の温かみ
がたんごとんと 子守唄を聞きつつ
懐かしいモケットに 身をゆだねて微睡(まどろ)むと
夢は幼い日の 母との旅路を辿っていた
わがままで あなたを困らせ
疲れ果てて 眠り込んだ汽車のなか……

あの日 あなたが車窓を向いたまま
こっそり泣いていたのを 想い出す
そしていま 大人になって
ハコに揺られながら 思うのは
あなたが流した 涙のわけと
それから あなたの優しさと……
旧客のぬくもりは 母の面影

inaka21.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 20:45| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

牽引車の面影


蒸機の力強さは 父の逞しさ
煙と煤にまみれた 黒く重々しい姿が
小さい頃 負ぶさった
父の広い背中と かさなり合う
ひときわ大きく響く その声も
時には怖く 時には頼もしく聞こえた

あなたと線路際で見た あの頃の憧れと
旅するうち 少しだけ解りかけてきた
あなたが ただ黙々と
働いてきたのではなく 心のなかで
いつも 家族を気づかい
このカマのように 牽っぱってきたことを……
蒸機の力強さは 父の面影

cab2.jpg (Photo: Y. Kambe)
posted by Yasuhiko Kambe at 20:32| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ステーションの記憶


見果てぬ旅路を夢見て
空想列車に揺られ
たどり着いたのは
想い出の中で ひっそりと佇む
遠いステーションの記憶

ホームの砂地が
白く まぶしく
時が止まったまま 風もなく……
朽ちかけた駅名板が 片隅で
ぼんやり 空を見上げている

ふわりと 浮かんだ雲が
優しげに 大時計を見つめ
旅立ちの 青い合図を出す
見送るのは ただ
線路に咲いた 勿忘草(わすれなぐさ)だけ


sora10-200K.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 03:01| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

北紀行


車窓を叩く 冷たい雨のしずく
すべての想いが ガラスを伝い
通り過ぎた来し方へ 流れ去る
旅は また雨

まるで あなたの悲しみのように
まるで 私の苦しみのように
休むことなく 降リつづける
大地に 森に そして心に

それはやがて 小さき川となり
ささやかな恵みを 季節の中に
きっと もたらすことだろう

そしていつか 小川のほとりに
美しくひっそりと 花咲く日を
信じていよう 旅の空から……


tanpopo.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 02:59| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

回想 〜プラットホームにて〜


ほんとうに あの町へ
僕は 行ってきたのだろうか
遠く離れた 山の向こうの
海の見える あの小さな町に

――今 こうして独り
昔の旅を 想い出す時
すべてが 夢だったような
そんな 空しい気持ちになる

失いかけた心の風景と 自分を
探し出すために 僕はそっと
見なれた街から 旅に出る

シグナルが変わり 列車が動き出す
さよならの プラットホームが
旅立ちのステージに変わるのは その時……


senro200.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 02:56| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

見知らぬ旅へ


見知らぬ旅へ
見知らぬ土地へ
列車にゆられて
心の中の 見知らぬ風景に
会いに行こうか

一駅一駅 後にするたび
淡く切ない想い出が
透きとおってゆく
昨日までの わだかまりも
流れ去ってゆく
そんな気がして……

ゆっくり 少しずつ
進んで行こうか
見知らぬ旅へ
見知らぬ土地へ


fog.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 01:59| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

序奏


ひとり憧れし 街角に佇み
見上げし空を 眺むれば
流れたる雲の 来し方に遠く
懐かしき 故郷を想う時
わが人生も また
悲しき夢のモノローグ

遥かに広がる 海に望めば
かの想いも 風に漂い
落ちる夕日が 静寂を運ぶ
今宵 星の光に抱かれて
つかの間の 安らぎへ
優しき旅のパサージュ……


sky528.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 01:48| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

このブログの序にかえて


This blog is the images of lost journey.


【備考:初出一覧など】

Read more...
posted by Yasuhiko Kambe at 01:40| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。