2009年02月26日

やまたび


スイッチバックに
ループ線
旅も人生も
おんなじだな
行ったり来たり
ぐるぐる回って
少しずつ進んで
少しずつ越える
車窓に広がる風景を
楽しみながら

旅も人生も
おんなじだな


Agony_point_1921.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 17:19| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月19日

光の季節に


空を流れ飛ぶ 五月の雲の群れ
あの日見た 人知れず過ぎてゆく風と
若葉のささやきが 淡い追憶の中で
ひっそりと 漂っている

沼のほとりの 向こうから
水面を揺らし 聞こえて来るのは
誰かが吹く ハモニカの調べ
懐かしい唄を 遠く奏でながら

砂地に咲いた 名もなき小さな花
その問いかけに 羽を広げて
飛び立つ 若鳥たちのさえずりが……

訪れた光の季節を こうして
ひとり確かめるように 歩き続けて
私は家路をたどる 振り向きもせず――


2007052f202f152fa00320155f192118102ejpg.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 15:31| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月27日

春望の海に


通りすぎてゆく 春の中で
私はひとり 潮騒を耳に
軽やかな想い出を たどり
遠くきらめく 水辺に佇む

砂に埋もれて 乾涸(ひから)びた
こわれそうな 夏の欠片(かけら)が
忘れかけた 追憶のように
その顔を のぞかせている

沖行く船の 淡い汽笛が
風待ちの港に 向かう頃
海鳥たちも 岬へ帰るだろう……

ふりむけば 波間に足跡は消え
暮れなずむ空には 白い月
通りすぎてゆく 春の中で

umi07.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 02:04| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月01日

みまかれた人の魂のために


芽吹いたばかりの 木立ちの上を
流れてゆくのは 春の雲たち
過ぎてゆくのは 冬の光と
影と いくつもの想い出

みまかれた人の 魂のような
透きとおった そよ風が
やがて訪れる 季節の彼方へと
静かに 吹き抜けている

《積み重なった苦しみも ゆっくりと
消えてゆくことが あるはず
たとえ 離れていても――》

忘れ得ぬ 遥かな悲しみに
ほのかな温もりを 感じ始めた
浅い春の 夕暮れの中で……

umi09.jpg

*English version
posted by Yasuhiko Kambe at 22:17| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

風のどこかに


風のどこかに 春をさがして
旅のどこかに 夢をさがして
季節は 移ろいゆくから 美しいのか
時は 移ろいゆくから 美しいのか

あの追憶と もういちど出会えるような
あの邂逅が ふたたび甦るような
そんな気がして 訪ねた駅の片隅
暮れなずむ待合室に 人影はなく……

色あせた ホームのベンチも
夕映えの中で ひっそりと
レールを見つめている 時を止めて

風のどこかに 春をさがして
旅のどこかに 夢をさがしたまま
さすらい続けてゆく 今……

evening7.jpg (Photo: Y. Kambe)
posted by Yasuhiko Kambe at 22:14| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ファインダーの中の記憶


ファインダー

中に
存在する
記憶が

のように
映し出された
無音の
n個の
イマージュ

その
存在


の間に断続する
無限の意識
そしてノイズ

いくつかの
非ユークリッド幾何学
のある風景
をめぐる
未完成の詩論

リフレインする
小さな部屋


の下の舗道
通り過ぎてゆく
貴婦人
のような
シルエット

パラソル

スケルトン・スピーカー
から響く
0と1
の奏でる
感傷的なピアノ曲の
BGM
ある仮想都市

午後の造形
が写し出された
ネガ・フィルム

砂についてのテキスト
それから


F-W_isu.jpg

*Hommage for the modernism of last century.
posted by Yasuhiko Kambe at 20:20| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

果てしなき旅情


枝を渡る 北風が
微かに 木洩れ陽に
ささやきかけた その日
空を渡る 白い雲が
長く伸びた 木立ちに
別れを告げて 旅だってゆく

水面(みなも)に滲む 光と影に
春の気配を そっと感じて
残された鉄路を うつむき辿る
砂に埋もれた 枕木に
名を刻み 過ぎて行ったのは
遠く遥かな 旅の追憶たち……

夕映えの中へ 消えゆくように
震える明星に 誘われ
青い列車が 大地を駆け抜ける
果てしなき夢と 旅情を乗せて


sunset.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 19:41| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

沼のほとりで


優しい たそがれの中を
遠く走り去るのは 高原への列車
軽やかなリズムで 鏡のような水面(みなも)を
微かに 震わせ……

そして 渡り鳥たちも
羽ばたいてゆく 長かった
冬の物語から いっせいに
抜け出すかのように

ああ! 峠を越えた山里や
置きわすれてきた 淡い追憶は
今ごろ どうしているだろう

私はひとり 空を見上げ
いきなり訪れた 春風に
そっと想いを託す 沼のほとりで……


numa1.jpg (Photo: Y. Kambe)
posted by Yasuhiko Kambe at 19:25| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

冬の旅


ヤードの明かりに照らされて
舞い散る白い雪たち
白い貨車に
白い客車に

ホームの白熱灯に照らされて
降り積む青い雪たち
青い駅に
青い町に

ただ音もなく 時が流れ
列車を待ち続けるのは
母を慕う 少女ひとり……

凍えるように灯る
シグナルも変わらぬまま
暮れてゆく 冬の旅


shogatsu05-3.jpg (Photo: Y. Kambe)
posted by Yasuhiko Kambe at 18:49| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

からまつに寄す


乗り込んだ夜汽車に けだるく朝が訪れる
眠りから 覚めたばかりの
人けのない街を 通り過ぎ
雨に煙る鉄路を 北へ向かう

低く垂れ込めた 雲のすき間から
淡い日差しが 希望のように顔を出す
長い冬は もうすぐ
蒼い海は 冷たく……

夜明けの車窓を 雨のしずくが伝い
一駅ごとに 想い出が遠ざかる
あの日の せつなさとともに――

落葉松の大地に灯った シグナルの先へ
テールランプを残して 旅を続けてゆく
遠く 待つ人もないまま


H_umi200.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 18:47| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

出発の秋に


雨上がりの港へ流れる 川のほとり
ゆっくりと 古びた鉄橋を渡る
小さな汽車が 水面(みなも)に
微かに漣(さざなみ)を立て 通り過ぎてゆく

雲の切れ間からは 秋が広がり
浜風に乗った海猫が 空を舞う
向こう岸から聞こえてくる 長い汽笛
それは 遠き旅路への誘(いざな)い――

(どこまで? どこまでも)
(いつまで? いつまでも)
答えさえ はっきり見出せぬ旅……

行先のわからない切符を手に 君は独り
改札口へ向かって行った いつの日か
あの空を 再び見ることを信じて


heigawa2-6.jpg (Photo: Y. Kambe)
posted by Yasuhiko Kambe at 18:40| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

れとろすぺくてぃぶ


海が近いというだけで
吹く風も 家並みも
住む人も違う この街
私は独り 古びた駅舎にいて……

微かに遠く 聞こえてくるのは
港をゆく 外国船の汽笛
見知らぬ旅人を 慰めるように
そっと 優しい響きで

務めを終えた客車が ひっそりと
朝のホームを 離れてゆく
色あせた後ろ姿に 疲れと安堵を漂わせ――

寂しげに見送った人々も 今は去り
ただ風が少し 吹き抜けるだけ
海に近い 古びた駅のホームで

ferry2.jpg (Photo: Y. Kambe)
posted by Yasuhiko Kambe at 18:34| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

雨の一日(ひとひ)に


聞こえるのは 雨だれの音だけ
か細い梢をつたう 雨だれの音だけ
沼のほとりの木々たちが 流れゆく雲に
しきりに枝を 振っている

雨やどりがてら 木陰でうたた寝する鳥や猫たち
その傍らを 仔犬が
そ知らぬように 通りすぎていく
みずみずしい 落葉の輝きを踏みしめて

木立のあいだに見える 水面に
いくつもの同心円が 現れては消え
さざなみの中に 回想のように繰り返す一日……

白い小さな雑貨屋に 灯りが点る
雨に濡れた 教会の十字架の遠く
静かに空が色づいていく 夕暮れの町


ame100.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 18:30| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

信濃路残照


か細い梢を 微かに震わせて
たそがれの中を ゆるやかに
雲や鳥たちが 秋の風に乗って
山の向こうへと 帰ってゆく

やがて終わる 一日の
わずかな きらめき
落葉樹のシルエットが その光を
鮮やかに 浮かび上がらせる

遠くに 灯りが点る頃
淡い残照のどこからか 聞こえてきた
峠の汽笛も 今はもう 昔語り……

暮れなずむ 野辺の道をゆく
母と 子と 戯れる仔犬
みな枯野に 大きな影を残して――


sora.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 18:26| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

秋の高原鉄道


透きとおる光と風の中で 雲は流れ
遥かにそびえる 山の頂きには
か細い白い煙が 風になびく
草たちも 静かに挨拶を交わす秋――

人けのない 午後のホームに立つと
あの頃と 変わらない時が
流れているような そんな気が
するのは なぜだろう

小さな待合室の ベンチには
誰かが 忘れていった
白い夏の帽子が 人待ち顔をして……

と 木立の向こうから
ようやく列車が 顔を出す
もう 峠の麓へは行かないけれど

cosmos013.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 17:55| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

碓氷峠初秋


まるで 陽だまりのような
想い出に包まれて 懐かしい旅路を
独り たどってゆく
急ぎすぎる 毎日を忘れて……

そこには 遠い夢の数々が
息をひそめて 去りゆく人と時を
物言わず 見守っている
二度と来ない 列車を待ちながら

季節はずれの夏草が
優しく 高原の風にそよぎ
思いがけない客人(まろうど)に 挨拶している――

回想の中へ伸びてゆく 赤錆びたレールに
そっと耳をあてれば いつしか想いは
凍りついてゆく 静かに 眠るように……

hasi011.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 17:27| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

黒い機関車のある風景


高原の 朝もやの中
人影のない 駅の片隅で
鳥のさえずりを 聞きながら
その黒い機関車は ひっそり眠っていた

燃えるような 木々の彩りと
やわらかな 朝の光に包まれ
懐かしくも 輝かしい
あの頃へ 旅立つかのように

信号が変わり 夢を乗せて
急ぐ列車を 傍らで見送る
その姿は変わらない 昔も今も……

高原の朝もやに煙る 小さな駅で
僕は いつのまにか
詩の中の風景に 立っていた


H_ki02-200.jpg
posted by Yasuhiko Kambe at 17:16| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夜汽車


風が吹けば 想い出も流れ
こうして今は ただ独り
遥かな旅路を 振り返るばかり
行くあてもなく 身じろぎもせず……

頬づえをついたまま 車窓を見つめれば
静かな雨だれに霞んでゆく 街の灯りと
影になった 旅人たちの横顔
みな 無言のままで

消えてしまいそうな 追憶を抱いて
ひっそりと飛び乗った 夜汽車
手を振る人もいない あのホームから――

オルゴールが 子守唄のように
夢の世界へと誘(いざな)い 仄(ほの)かな暗がりが広がる
つかの間の安らぎ 暁まで……


night8.jpg (Photo: Y. Kambe)
posted by Yasuhiko Kambe at 02:13| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夢への疾走


いつの時代も フルノッチで
走りつづける 速度への夢の数々
驀進 韋駄天 超特急……
どの走者も皆 時には悲壮感さえ漂わせて
終着駅を目指し ただひたすら駆け抜けてきた
風に立ち向かって進む その勇姿は
僕達の心を 捉えて止む事はない
たとえ 時が移ろっても
この星に 鉄道があるかぎり


shimbashi-sta.jpg
(Photo: The 0 milestone at Old Shimbashi Sta. in Tokyo, Y.Kambe)
posted by Yasuhiko Kambe at 02:08| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

強者(つわもの)たちへのララバイ


数えきれない旅を刻み 走りつづけてきた強者(つわもの)たち
点々と並ぶリベットや 飾らない素朴な色調は
凛としているのに 温もりを感じさせる
多分それは 幾度(いくたび)もの厳しい風雪に耐え
何時(いつ)の間にか 備わったのに違いない
鉄道が帯びてきた 重い使命と威厳――
無言の裡(うち)に それを物語る
老紳士のような気骨が そこにある


shako.jpg (Photo: Y. Kambe)
posted by Yasuhiko Kambe at 01:45| Comment(0) | Passage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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